【薬】当たり前のことだが、なんとなく薬を飲んではいけない
医薬品、つまり薬は、私たちにとって身近な存在。体に作用を及ぼす成分を、口から飲んだり、鼻から吸い込んだり、さまざまな経路で体内に届ける役割を果たしています。
薬には、以下のタイプがあります。
〇口から飲む(錠剤、カプセル剤、粉薬、シロップ剤など)
〇注射する(皮内注射、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射)
〇口で溶かす(舌下錠など)
〇鼻から吸う(吸入・噴霧剤など)
〇目にさす(点眼剤など)
〇皮膚から吸収させる(貼り薬、塗り薬)
〇肛門に挿入する(坐薬など)
![]() |
| photo by Karolina Grabowska(Pexels) |
薬とはいえ、私たちの体にとっては外部から入ってきた異物。さらに、数多くの研究・試験が行われているとはいえ、薬の作用は複雑で、幅広く、そのすべてが解明されていません。そもそも人体のすべてが解明されているわけでもないのです。
ですから、薬には私たちが期待しているような作用である「薬効」だけでなく、副作用も現れることが少なくありません。それが命に関わるリスクもあるのです。
薬には、「医療用医薬品」と「一般用医薬品」があります。
〇医療用医薬品→いわゆる処方薬で、医師の処方箋が必要
〇一般用医薬品→いわゆる大衆薬で、薬局などで買える薬
医療用医薬品と比べて危険性は低いと考えられている一般用医薬品でも、科学的な根拠に基づいて、適正に使うことが大事。ドラッグストアですぐに買えるからといって、適当に、大量に飲んではいけないわけです。
薬の効能効果・用法用量・副作用などの情報が適切に伝達されること。買う人が適切に使用すること。この2つがそろって初めて、薬の役割は十分に発揮されるのです。
一般用医薬品には、製品に添付されている文書(添付文書)や製品表示に、必要な情報が載っているものの、すべての人の理解されるとは限りません。効能効果や副作用への誤解や認識不足を生じることもあります。
薬を買う人が、一般用医薬品を適切に選んで使うためには、専門用語をわかりやすく説明してくれたり、相談に乗ってくれたりする人が必要。
それから、薬が販売されている期間中にも、医学・薬学などの新たな知見や使用成績に基づいて、薬の有効性と安全性が確認されています。そのため、添付文書や製品表示が、昔と今とでは変わっていることもありえるわけです。古い情報しか知らなければ、薬を間違って使ってしまう危険性も出てきます。
薬は生命や健康に密接に関連するもの。ですから、高い水準で均一な品質が保証されていなければなりません。「薬機法」(正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律) では、健康被害の発生があるにせよ、ないにせよ、異物の混入や変質などがあってはならないと定められています。製造販売業者による製品回収などの措置がなされることもあるので、情報収集は大切です。最近では、 福井県にあるジェネリック医薬品の製造メーカーの小林化工が製造した水虫薬に、睡眠導入剤の成分が混入していたため、服用した女性が亡くなるという問題が発生しました。さらに、「効果発現が遅延する可能性や有効性低下の懸念などがある」として21品目を自主回収しています。
製造販売業者はもちろんのこと、実際に使用する私たちも、「うっかり」「適当に」「なんとなく」薬を扱ってはいけないと、改めて実感します。【医薬品】いやくひん
病気の診断、治療、予防に用いる薬。薬機法で、開発・生産・使用について規制されている薬。医療用医薬品と一般用医薬品とがある。【医療用医薬品】いりょうよう‐いやくひん
医薬品のうち、医師の処方に従って、病院の薬局や院外の調剤薬局が患者に提供する薬。効果は高いが副作用の恐れもあり、処方なしに販売できない。処方薬。【一般用医薬品】いっぱんよう‐いやくひん
医薬品のうち、医師の処方箋がなくても、薬局などで自由に買える薬。大衆薬。【医薬部外品】いやく‐ぶがいひん
薬機法に基づき医薬品と区別されている、人体に対する作用が緩やかな薬品。蚊取り線香・日焼け止めクリーム・脱毛剤・歯みがきなど。【医薬品医療機器等法】いやくひんいりょうききとう‐ほう
《「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称》医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の品質・有効性・安全性を確保するために必要な規制や指定薬物の取り扱いなどについて定めた法律。薬事法を一部改正し、平成26年(2014)11月施行。薬機法。
goo国語辞書https://dictionary.goo.ne.jp
■参考資料
試験問題作成に関する手引き(令和4年3月作成、令和7年4月一部改訂)
https://www.mhlw.go.jp/content/001478035.pdf
https://www.asahi.com/articles/ASP146D8NP14PTIL00M.html
小林化工、新たに21品目を自主回収
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/202101/568897.html

Leave a Comment